
ミック・ジャガーが初のソロ・アルバムを発表し、これに激怒したキースとミックとの関係が悪化。
更には完成直前の1985年の12月12日に、彼らを繋ぎ止めていたイアン・スチュアートが他界し、いよいよグループ存続の危機を迎える中、制作されたのがこのアルバム。
ソロに関心が向き、なかなかスタジオに現れないミックに変わり、制作の主導権を握ったのがキースだった。
発売後のワールド・ツアーを視野に入れ、ライヴ映えするラウドで荒削りなサウンドと、時代を感じさせるモダンな音(あくまでも当時のね)が同居したサウンドが聴ける。
ミックのボーカルにも、いつもとは違う危機迫るものを感じる。
ジミー・ペイジがギター・ソロを弾いた "One Hit (To The Body)" は、ミック vs キースの対立のパワーをそのまま持ってきた曲。
他に、"Fight" "Winning Ugly" など、人間関係の険悪さを伺わせるような曲もズラリ。
1stシングルの "Harlem Shuffle" はボビー・ウーマックと共演し、ミックのソウルフルなボーカルが聴ける。
ちなみにこの曲、当初はミックとボビー・ウーマックとのデュエットだったらしいが、ミックスの段階で彼を単なるバック・ボーカルにしてしまい、彼を激怒させたエピソードもある。
キースの歌う "Too Rude" は、ジミー・クリフがバック・コーラスを添えたレゲエ・ナンバー。
再びキースの歌う "Sleep Tonight" は、トム・ウェイツがピアノを弾き、ロニーがドラムを叩いた味わい深い曲。ラストは短いイアン・ステュワートのピアノが...。
結局このアルバム発表後、ワールド・ツアーも行なわれず、再びミックはソロ・アルバムを製作する。そして、バンドは解散状態に。
オススメ度(5点満点)
★★★☆
前作『A RUSH OF BLOOD TO THE HEAD』でグラミー賞を受賞し、多大なプレッシャーのもと、難産のすえ産み出された3rdアルバムはハッキリ言って名盤。
前作を軽く越えてしまった。
相変わらずバラードを基調としたスタジアム・ロックだが、ちょっとした意外性や、クリスが公言するクラッシック・ロックからのパクリも随所に見隠れする。
そして、美しいメロディに徹底的にこだわった曲がずらりと並ぶ。
前作の延長線上ではあるが、彼らのスタイルをさらに深く掘りさげ、非常にスケールのある進化したアルバムに仕上がった。
こ難しい実験や新たな方向転換もなく、ただ美しいメロディを鳴らすだけという姿勢を強く感じる。
1曲目の "Square One" からして、大胆な進化を確認することが出来るし、疾走感溢れる "White Shadows" はU2を思わせるようなダイナミックな曲。
リード・シングルは "Speed Of Sound"。これも名曲。
どの曲も、構成や展開がバラエティに富んでいる。
特に強く感じるのが "Fix You" 。
パイプ・オルガンの音色が印象的で、まるで教会音楽のような荘厳な響きは感動的でもある。
こうなると、楽器の数がかぎられたライヴってのを観たくなってくる。
フジ・ロックを見逃した今となっては、単独公演の実現をただ願うばかりだ。
オススメ度(5点満点)
★★★★